コラム

リバプール、ユルゲン・クロップ監督の戦術は?進退や解任の噂について

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¡Hola! ¿Cómo estás? Soy Madri. Hoy os cuento sobre el entrenador de Liverpool, Jürgen Klopp.(こんにちは!お元気ですか?Madriです。今日はリバプール監督のユルゲン・クロップについてお話しますね。)

イングランドプレミアリーグの名門リバプールで監督を務めるユルゲン・クロップ監督は、2015-2016シーズンにリバプールの監督に就任して以来、今シーズンで8年目を迎えています。本記事では、代名詞となる戦術“ゲーゲンプレス”を駆使し数々のタイトルを獲得してきたクロップ監督のこれまでの選手、指導者としての歩みと実績、そして今後の動向について取り上げていきます。

ユルゲン・クロップ監督の選手時代は?

ユルゲン・クロップは、選手としての大部分の期間を当時ブンデスリーガ2部に所属していたマインツ05の選手として過ごします。マインツ05といえば、岡崎慎司選手と武藤嘉紀選手が所属していたクラブとして日本のサッカーファンの間でも知られているクラブですね。元々はフォワードとして活躍していましたが、キャリアの途中でディフェンダーに転向することになります。マインツ05に12年在籍し、340試合に出場した後、1部リーグでプレーすることなく2001年に現役を退いています。

ユルゲン・クロップ監督の指導歴は?

指導者キャリア

マインツ05

マインツ05で現役生活を終えた2001年、前任の監督の辞任を受けてすぐに監督として指揮を執ることになります。途中就任でチームを立て直し、3部への降格を回避する14位でシーズンを終えます。翌シーズンからは自らの戦術を浸透させ、チームを上位に押し上げると、2003-2004シーズンは3位に入り、クラブの悲願であったブンデスリーガ1部への初昇格を果たします。1部でも11位に着ける健闘を見せますが、再度2部へ降格すると、2007-2008シーズンにマインツ05の監督を辞任しました。

ボルシア・ドルトムント

マインツ05の監督を辞任して間もなく、ボルシア・ドルトムントの監督就任が決定します。ドイツの絶対王者バイエルン・ミュンヘンからも打診があったにもかかわらず、前年13位で終わったボルシア・ドルトムントを率いて、チームを立て直す仕事を選んだわけです。クロップ監督の下、若い選手でチームを編成したボルシア・ドルトムントは、6位、5位と年々成長して順位を上げていきます。迎えた2010-2011シーズン、ついにボルシア・ドルトムントはブンデスリーガの頂点に立ちます。ちなみに、このシーズンから当時21歳の香川真司選手が加入し、若くて才能溢れる選手の中にあっても、一際輝きを見せヨーロッパ中にその名を轟かせています。2011-2012シーズンもブンデスリーガを制し連覇を達成するとともに、ドイツカップとの2冠を達成すると、2012-2013シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、準決勝で“ヨーロッパの王”レアル・マドリードを撃破し、16年ぶりで決勝に進出しました。決勝戦では同じドイツのバイエルン・ミュンヘンに敗れ惜しくも優勝を逃しましたが、ボルシア・ドルトムントのダイナミックで躍動感溢れるサッカーを、ヨーロッパ中に印象付けることになります。このシーズンをピークにドイツ国内でもヨーロッパでも成績は下降し、クロップ監督は2014-2015シーズンをもってボルシア・ドルトムントの監督を辞任しました。

リバプール

2015-2016シーズンから3年契約で、イングランドプレミアリーグの名門リバプールの監督への就任が決まります。リバプールでも就任初年度はリーグ戦で8位で終わったものの、翌シーズンと翌々シーズンには4位、2018-2019シーズンには2位に入ります。そして、同年のUEFAチャンピオンズリーグでは、決勝で同じイングランドのトッテナム・ホットスパーズを破り優勝します。ユルゲン・クロップ監督自身3度目の決勝戦で、ついに悲願のUEFAチャンピオンズリーグのタイトルを獲得したわけです。リバプールのクラブとしては14年ぶり6度目の戴冠となりました。ちなみに、日本代表の南野拓実選手は2020年1月にリバプールに加入しており、日本人として初めてUEFAチャンピオンズリーグの優勝メンバーの一員となっています。
ヨーロッパ王者として迎えた2019-2020シーズンもリバプールは快進撃を続け、実に30年ぶりの国内リーグ優勝を達成、1992年にプレミアリーグとなってからは初優勝を遂げます。その後も現在に至るまで様々なタイトルを争い、リーグカップ、FAカップ等を獲得しています。

戦術は?

ユルゲン・クロップ監督の戦術といえば、“ゲーゲンプレス”が代名詞となっています。ゲーゲンプレスとは、カウンタープレスを意味するドイツ語です。つまり、相手からボールを奪われた瞬間に即時でプレスをかけ、ボールを奪い返しに行く動きを指して、このように呼んでいます。相手陣内の高い位置でボールを奪いに行き、ゴールまで近い距離、少ないボールタッチで得点チャンスを創出できるため、相手の守備陣形が整わないうちに速攻をしかけられるメリットがあります。その分、選手全員がハードワークし、ボール奪取の場所やタイミング等をしっかり意思統一することが求められます。運動量とインテンシティ(激しさ)が必要であり、比較的若く体力のある選手を起用する傾向があります。また、実際に監督に就任してからタイトルを争えるチームになるまで、ボルシア・ドルトムントでもリバプールでも数年がかかっているように、浸透させるためには時間を要する高度な戦術とも言えるでしょう。

今後の進退は?

ユルゲン・クロップ監督はリバプールの監督に就任以来、何度か契約を延長し、現在は2026年6月までの期限となっています。昨シーズンはFAカップとカラバオカップのタイトルを獲得し、プレミアリーグでは優勝したマンチェスターシティとは勝ち点差1の2位、UEFAチャンピオンズリーグでも決勝に進出しているように、チームは高い競争力を保っていました。ところが、2022-2023シーズンは、一時は10位前後と低迷し来期のチャンピオンズリーグやヨーロッパリーグへの出場権獲得も雲行きが怪しい状況にありました。クロップ監督はマインツ05、ボルシア・ドルトムントともに7年目のシーズンを終えた時に退任しており、現在8年目を迎えるリバプールでもサイクルの終わりが来たのではないかという声も挙がっていたのです。また、クロップ監督自身、かねてからレアル・マドリードでの監督就任を見据えている旨も噂されており、契約期間満了を待たずに解任もしくは辞任する可能性が示唆されています。それでも、年が明けてからのリーグ戦では6位まで盛り返してきており、本来のポテンシャルを発揮すれば、優勝は不可能だとしてもチャンピオンズリーグ出場権の4位でフィニッシュすることは可能でしょう。そうなれば、契約期間が残っている以上は、留任に傾くのではないでしょうか。シーズン終盤のリバプールの巻き返しと、現代のサッカー界における屈指の名将であるクロップ監督の去就には引き続き要注目です。

ユルゲン・クロップ監督の名言は?

ユルゲン・クロップ監督は、ゲーゲンプレスの言葉に代表される戦術家の側面と、カリスマ性と情熱を備えたモチベーターの側面も持つ人物です。クロップ監督と選手の関係性は時に親子に喩えられることもあり、その情熱と言葉の力で信頼関係を構築するのに長けています。そして、その説得力のある言葉は度々メディアでも取り上げられています。その中でクロップ監督自身と代名詞となるゲーゲンプレスを巧妙に言い表した名言がこちらです。
「アーセナルのアーセン・ヴェンゲル監督は、ボールを支配しパスサッカーを好む、いわばオーケストラのようだ。でも、それは静かな曲だよ。私はヘビーメタルの方が好きだ。いつも賑やかなのが好きなんだよ。」

この言葉とリバプールの選手たちが躍動するゲーゲンプレスの様子は見事に重なります。選手全員がインテンシティ高くプレスをかけ、相手を攻め立てる様はまさにヘビーメタルのようです。オーケストラのような綺麗なパスサッカーが、騒がしいヘビーメタルのようなプレスサッカーに飲み込まれてしまう様子が浮かんできますね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。選手時代は2部リーグの所属で陽の目を見なかったユルゲン・クロップ監督は、指導者としては代名詞となるゲーゲンプレスを武器に数々のタイトルを獲得しヨーロッパ屈指の名将と評価されています。カリスマ性と熱い人柄から指導する選手たちにも慕われ、人心掌握にも長けた監督です。香川真司選手や南野拓実選手も指導を受けたことから、日本にもクロップ監督のファンが多いことでしょう。今後の去就如何にかかわらず、シーズン終盤の采配とその動向にも注目していきましょう!それでは、また。¡Nos vemos, hasta luego!(それでは、また会いましょう!)